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デビルマン 鎖斗拳 02/5/2(木) 15:05

デビルマン
 鎖斗拳  - 02/5/2(木) 15:05 -

引用なし
   著者 永井豪 '74(日)講談社

俺はこの作品を当初、神と悪魔の戦いの話として理解していたのね。もちろんそれに付随して人間達のささやかな営みや、最終的に自ら滅亡の道を辿っていく姿が、ある種滑稽さを伴って描かれていて、深く共感したことも事実。でも、そんな感情とか思い入れなんかを軽く超越しちゃってるところがデビルマンの本当に凄いところなんだ。
細かいディテールをあげれば、きりがないんだけど(たぶんクロスレヴューでみんなフォローしてくれると期待して)、俺が一番ショックだったのは、藤村美樹ちゃんの死もそうだけど、彼女の家族がそれぞれむごい最期をとげる(特に母親が拷問の末、天井から吊り下げられて惨殺されていた場面)という展開にあった。それが悪魔によってではなく、同じ人間達(それも近所の隣人達)によってなされたという点、ガキだったせいもあると思うけど、トラウマになったね。だってさあ、普通タレちゃんみたいなキャラは殺さないでしょ。

その当時は、ジョージ秋山なんかもそうだけど(アシュラとかね)世間のタブーに挑戦する意欲的な漫画が多かった。決してハッピーエンドにはならないし、残虐な場面もあるけど、よく考えてみりゃ俺らが今生きているこの現実ってものがそういうものだし、今と違って当時はまだみんな物事をもっと深く考えていただけなんだろうな。

理性を解放した(この作品で描かれているような)状況で、ある種のプロパガンダが行なわれた場合、人間がこれほど脆弱なものかどうか意見は分かれるだろうが、この辺に作者のあまりに絶望的な人間観が垣間見れる。
また、この恐怖によって統制していくテーマは、当時のクメール・ルージュの自国民に対する大量虐殺なんかが背景にあったのかも?

人類が絶滅した後も黙示録的に話は続き、最終的に神の軍団が姿を現す場面で物語は終了する。余韻の残るいいラストシーンなんだけど、後に新デビルマンとかバイオレンス・ジャックなんかでこの後のストーリーが語られちゃって、ひどくがっかりした。これで終わりだからいいのにね。

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